日産自動車「GT-R」の開発責任者の人の話。
最近、自分のTwitterタイムラインやFacebookを見ていると下記の記事が絶賛されていましたけど、「えー」と思うことが多かった記事です。
一つずつ突っ込みを入れてみたいと思います。
仕事なんて楽しいワケがない! プロは客に尽くして喜ぶものでしょ:日経ビジネスオンライン
自分はお茶漬けを食っていればいいんです。何も自分が自分の握った寿司を食おうなんて思わなくていいんだ。そんな自分のメシに使う時間があるのだったら、お客のためにより良い寿司を握るために研究しようと言うのが一流の板前です。
自分でうまいと思えない寿司をお客様に出すのは難しいと思うんですよね。
最近の若い人に高級車の開発をしろ、高級車のお客様の気持ちが分かるように勉強しろ、と指示すると、「だって俺、金ないですから、高級車に乗ったことがないですから分かりません」と平気な顔で言ったりするんだ。こんなヤツが本当にいる。もう最低。こんなヤツはクソ食らえだ。
勉強中の若手が至らない発言をしただけで、この時点でお客様に迷惑をかけていないのに最低呼ばわり。お客様の研究方法を部下に教えるのもあなたの仕事では・・・。
仕事を楽しめだって?冗談じゃない。ふざけるな。仕事は苦しいもの、辛いものですよ。楽しみたいんだったら。「ジョイポリス」へでも行ってカネ払ってこいって。ジョイポリスで遊んで給料をもらえますか?もらえるわけないよね。仕事に“楽しむ”ということがあるのとしたら、それはお客が喜ぶ顔を見ることだけだ。
ジョイポリスで遊んで給料をもらう方法を考えるという発想がないようです。
喜んでくれるお客さんの顔と、払ってくれる対価こそが仕事の成果なんだよ。そんな単純なことすらみんな見誤って、仕事はエンジョイしましょうなんてさ。その行きつくところはニートとフリーターじゃない。
前半は同意だけど後半は理解がおかしいように思います。お客様が喜んでくれて対価を払ってくれる上に、仕事を楽しもうということでしょう。仕事を楽しむのは絶対条件じゃなくて「それが付くとベター」ということですよね。この人に言わせれば、そんなものは存在しないということなんでしょうけど。
仕事なんて苦しみだよ。苦しめば苦しむほど今までにないことができるようになるんだよ。みんなが従来の路線で物を見て判断するような環境の中で、これまでにないモノを作るんだから、それは苦しいよ。だからある時は説得し、ある時は威圧し、ある時は騙し、ありとあらゆる手段を使って新しいものを実現する。新しいことにチャレンジすればするほど、仕事って苦しいものなんだ。
その通り。
その苦しみの先には、世の中を更にびっくりさせて、フェルディナントさんがまた大騒ぎして喜んでくれるはずだというトキメキがある。苦しみとトキメキが同居している。この状態が大事だと思う。トキメキがなくて苦しみだけだと、間違いなく病気になっちゃう。
そのトキメキが「楽しい」んでしょ?
だから潰瘍から血が出ても円形脱毛になっても、何も気にならないのは、トキメキがちゃんとあるからさ。メンタルヘルスで“鬱度”なんていうのを計ると、俺のは凄いよ。今90%近いんだから。
病気になってるし(笑)。病気になってもトキメキがあるから気にならないんじゃなくて、病気になってもトキメキがあるからやめられないんでしょ?それが「楽しい」ってことと違うんでしょうか。
プロの歌手で、ステージの上に立って苦しい顔をして歌うヤツがいる?あの歌って踊れる裏には何があるかと考えたことあります?
分かった!この人は「仕事を楽しむ=手を抜け」ってことと勘違いしてるんだ!そんなわけないじゃん!
というわけで、「えー」と思うことが多かったのですが、絶賛する人が多いということは、やはり私は世間のデキる人たちに比べてネジが1本抜けてるようです・・・。
日産と直接関係はありませんが、トヨタやキヤノンは、商品は好きですが働きたいとは思わないんですよね。今回の記事もそんな印象でした。この手の自己犠牲徹底主義は、日本のモノ作り体質なんでしょうかね。
参考
MyNewsJapan:トヨタQCにやっと残業代 遺族「持ち帰り仕事も対象とすべき」
創意工夫提案・QCサークル活動・交通安全活動・EX(班長)会活動・社内弁論大会・・・。自動車組み立てのラインの仕事が現場社員の本来の仕事で、いま列記した一連の仕事はすべてライン外の残業である。
本当に「いす」がなかった,キヤノン電子のオフィス – 記者の眼:ITpro
この5メートルのゾーンの両端にはセンサーが設置してあり,3.6秒以内で通過しないと警報が鳴るのだ。「広い工場なので,移動に費やす時間がバカにならない。社員に歩くスピードを体得してもらうための仕掛け」(酒巻社長)だという。
らばQ:英紙「日本という国を過小評価していないか」アメリカも中国も到底かなわないと取り上げ話題に
日本が大好きになった。そのあと3年日本で働いたら、日本が大嫌いになった。
私は「お客様が喜び、自分も楽しみ、かつ儲かる」というところにこだわって生きていきたいと改めて思いました。